
脱・輸入依存!国産エビを育てる陸上養殖×ビニールハウスの活用

陸上養殖とビニールハウスの基本知識
陸上養殖とは、海ではなく陸上の施設や水槽で魚介類を育てる方法です。天候や海の環境に左右されず、安定した生産が可能です。
その中で、ビニールハウスは低コストで建てられ、温度や湿度を調整しやすいという特長があります。農業用として一般的ですが、最近ではエビや魚の陸上養殖にも利用されています。
エビの陸上養殖の基本知識
エビの陸上養殖では、主にバナメイエビやクルマエビなどが育てられています。海水をろ過・循環させる「閉鎖循環式養殖システム(RAS)」や、微生物の働きを利用する「バイオフロック方式」が用いられます。
エビ養殖のポイント
項目 | 内容 |
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種類 | 主にバナメイエビ、クルマエビ |
水質管理 | pH、塩分濃度、水温、溶存酸素などを定期チェック |
飼育期間 | 稚エビから約3~4ヶ月で出荷可能 |
餌 | 専用飼料や植物性の餌など |
水温管理 | 28℃前後が最適 |
バイオフロックとは?
バイオフロックとは、微生物の働きを使って水の中のアンモニアなどを分解し、エビの餌にもなる技術です。抗生物質を使わず、環境にも優しいのが特長です。
エビの陸上養殖の市場動向
国内外の背景
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日本のエビ消費は高く、年間約20万トン(そのうち約90%が輸入)とされています。
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環境破壊や薬品使用の問題で、「安全・国産・無添加」なエビの需要が増加中です。
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陸上養殖は、国産エビの新たな生産手段として注目されています。
陸上養殖エビの強み
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天候や海洋環境に左右されず、安定した供給が可能
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抗生物質を使わない「無添加・安全性」が強調できる
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高品質エビとして飲食店・ホテルなどでも需要増
ビニールハウスを活用したエビ陸上養殖の事例
千葉県鋸南町「畑育ちのエビ」Seaside Consulting
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耕作放棄地のビニールハウスを再利用
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2021年からバナメイエビの養殖をスタート
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**ファインバブルとIoT制御(水温・pHなど)**を活用
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ブランド名「Bianca」として販売、旨味が強いと評価
千葉県木更津「ホテル三日月」内での施設型養殖
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ホテル敷地内に2棟のビニールハウスを建設
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水槽で約10万尾のクルマエビ・バナメイエビを養殖
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養殖エビはホテルのビュッフェや釣り体験で提供
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無添加・自給自足モデルとしてメディア注目
北海道ニセコ周辺:温泉熱とビニールハウスを活用
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寒冷地でも養殖可能なように、温泉熱を熱源に活用
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ビニールハウスでの保温・自然光取り入れで省エネ運用
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冬季も安定生産可能なモデルとして注目されている
施工業者の選び方(ビニールハウス・養殖設備)
ビニールハウス業者の選び方
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水産用途の実績があるか
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防腐対策や遮光性などが必要
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積雪・風への耐久性
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北海道や東北では構造強度も重要
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保温・換気・結露対策
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エビの健康に直結するため、温湿度管理ができる仕様を確認
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養殖設備業者の選び方
チェックポイント | 解説 |
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循環ろ過システム | 水質維持に不可欠。RAS対応業者を推奨 |
自動管理装置 | 水温、pH、塩分などを自動でモニタリング |
実績とメンテ体制 | トラブル対応が迅速な業者を選ぶ |
まとめ
ビニールハウスを活用したエビの陸上養殖は、低コストかつ環境に優しく、高品質な国産エビの生産手段として注目されています。
成功事例には、再生可能エネルギー・IoT・ファインバブル・耕作地活用など、地域資源とテクノロジーの融合が共通しています。
これから陸上養殖を検討するなら、ビニールハウスと水産設備の両方に詳しい施工業者を選ぶことが成功の第一歩です。