
ビニールハウスの暑さ対策、熱中症対策について

ビニールハウスの暑さ対策(熱中症対策)をわかりやすく解説
ビニールハウスは保温性が高いため、夏場は室内温度が急上昇しやすく、作業者の熱中症リスクが非常に高まります。この記事では、暑さ対策を「種類別」にシンプルにわかりやすく解説し、コスト感も併せて紹介します。また、後半ではおすすめの暑さ対策商品についても紹介します。
施工・設備による暑さ対策
遮光ネットの設置
説明:ハウス外部または内部に取り付けることで直射日光を遮り、内部温度の上昇を抑える。
コスト感:遮光率や面積により異なるが、1棟あたり1万〜5万円程度。
ポイント:遮光率は50〜70%がバランス良好。作物によって選定が必要。
おすすめ商品:ダイオクールホワイト
換気設備(換気扇・天窓・側窓)
説明:空気の流れを作ることで熱気を排出し、室温の上昇を緩和する。
コスト感:電動換気扇で1台10万〜20万円、開閉機構付き窓で15万〜25万円程度。
ポイント:温度に応じた自動開閉機能付きが便利。
ミスト冷却装置
説明:微細な霧を噴霧することで気化熱により空気を冷やす。
コスト感:簡易タイプで5万円〜、高性能タイプでは20万円以上の設備も。
ポイント:湿度の管理にも注意が必要。
おすすめ商品:グリーン.コム ミストシステム農業用
反射シート・白色塗装
説明:屋根や地面に敷くことで日射の反射率を上げ、熱の吸収を抑える。
コスト感:反射シートは1m²あたり500円〜。
ポイント:耐久性や固定方法の検討が必要。
作業時間と作業方法による対策
朝夕の作業時間に集中
説明:気温が比較的低い時間帯(午前中や夕方)に作業を行う。
コスト感:追加コストなし。
ポイント:スケジュールの見直しや人員配置が必要。
おすすめサービス:シフト管理クラウド「ジョブカン勤怠管理」など
定期的な休憩と水分補給
説明:30〜60分ごとに涼しい場所で休憩し、こまめな水分補給を行う。
コスト感:飲料代や休憩所の設置費用(簡易テントなどで数千円〜)
ポイント:塩分補給も忘れずに。
おすすめ商品:経口補水液「OS-1」、塩分チャージタブレット(カバヤ食品)
個人装備での暑さ対策
空調服(ファン付き作業服)
説明:服内にファンを内蔵し、外気を取り入れて体表を冷やす。
コスト感:1着あたり1万5千円〜3万円程度。
ポイント:バッテリー持続時間の確認が必要。
おすすめ商品:空調服(株式会社空調服)
冷却タオル・保冷材
説明:首や脇などを冷やすことで、効率よく体温を下げる。
コスト感:数百円〜数千円で導入可能。
ポイント:冷却効果は一時的なため、こまめな交換が必要。
おすすめ商品:アイスノン冷却タオル(白元アース)、ネッククーラーNeo(サンコー)
おすすめ商品:内部遮光システム ビニスライダー(株式会社サトー製)
商品名:ビニスライダー
製造元:佐藤産業公式サイト
PDF資料:製品カタログ、施工マニュアルPDF
特徴
レールにネット付きスライダーを設置し、展張と収束を行う構造。
- 安価で手軽、自在に動かせるのが強み
ビニールハウス栽培に暑熱対策は必須です!
作物と作業者のために遮光を活用しましょう。
おすすめ理由
①費用対効果が高い:1万円台で導入でき、熱中症リスクを軽減
②作物・作業者双方に有効:葉焼け防止と作業快適化
③シンプル施工で汎用性高:既存ハウスにも対応しやすい
④調光が手軽:天候や季節に応じて柔軟に調整可能
ビニールハウスの暑さ対策:価格比較と導入事例
ビニールハウスの暑さ対策を実施するにあたり、導入コストや実際の導入事例を知ることは、検討・判断において非常に重要です。本記事では、主要な対策ごとに価格帯を比較し、あわせて実際に導入した農家の事例を紹介します。
各対策の価格比較表
対策カテゴリ | 商品・サービス例 | 価格帯(目安) | 耐用年数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
遮光ネット | ダイオ化成 クールホワイト | 10,000〜50,000円/棟 | 3〜5年 | 遮光率選択可 |
換気装置(自動) | タカショー サーモトップ | 30,000〜100,000円/台 | 5〜10年 | 温度感知式 |
ミスト冷却 | CoolMist ミストクーラー | 50,000〜300,000円以上 | 3〜5年 | 湿度調整に注意 |
反射シート | 白ピカシート(トヨタ紡織) | 約500円/m² | 2〜3年 | 地面や屋根への施工 |
空調服 | 株式会社空調服 製 | 15,000〜30,000円/着 | 1〜2年 | バッテリー寿命に注意 |
冷却タオル・保冷材 | アイスノン/ネッククーラーNeo | 500〜3,000円/個 | 1シーズン | 一時的冷却 |
換気システム(開閉装置) | ビニスライダー(佐藤産業/福岡) | 数万円〜/棟 | 約5年 | ハウス側面や天窓に対応可能 |
導入事例紹介
事例1:北海道・トマト農家(換気装置:ビニスライダー)
背景:夏季にハウス内の温度が40℃を超え、収量と品質の低下が課題
対策:佐藤産業製の「ビニスライダー」を側窓と天窓に導入
結果:換気性能が向上し、ハウス内温度が約4℃低下、トマトの品質が安定
費用感:1棟あたり約6万円(部材+施工)
事例2:群馬県・きゅうり農家(ミスト冷却+遮光ネット)
背景:7月〜8月の作業が困難になり労働環境が悪化
対策:ミスト冷却装置と遮光ネット(70%)を同時導入
結果:作業環境の改善と同時に、病害発生の抑制にも寄与
費用感:設備費用トータル約35万円
事例3:熊本県・花卉農家(空調服導入)
背景:繁忙期の屋内作業で熱中症発症者が出た
対策:全スタッフに空調服を支給(10着)
結果:熱中症リスクがゼロに、作業効率も維持
費用感:約20万円(10着分+バッテリー)
まとめ:価格と効果のバランスで選ぶ
ビニールハウスの暑さ対策には、安価で手軽に始められるものから、本格的な設備投資が必要なものまで幅広く存在します。作物の種類・施設の規模・人員体制に応じて最適な組み合わせを選ぶことが、費用対効果の高い導入につながります。
今回紹介した事例はあくまで一例ですが、同様の課題を抱える農家にとって、参考になるポイントが多いはずです。暑さ対策を単なる”暑さしのぎ”ではなく、”経営改善の一手”として捉えることが今後ますます重要になるでしょう。