パイプハウス、ビニールハウスの大雪対策や耐雪について
パイプハウスやビニールハウスは農業では欠かせないものですが、風や雪によって壊れてしまう可能性があります。特に、毎年積雪が予想される地域では悩みの種であるかもしれません。雪は上から降ってくるため、ビニールハウスやパイプハウスの上に積もるでしょう。少量の雪なら特に問題はありませんが、大量の雪が積もってしまうと重さに耐えられなくなって倒壊してしまう可能性があります。そして、パイプハウスやビニールハウスの上に積もる実際の雪の量は、状況や天候によって大きく変わってくるのです。この記事では、ビニールハウスやパイプハウスの雪害対策について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
ビニールハウスの耐雪性能は?
ビニールハウスの耐雪性能は実際どれくらいの強度があるのでしょうか。まず大雪による倒壊の原因としては、ハウスの屋根部分に積もった雪による重みで屋根が変形し倒壊していきます。日本施設園芸協会の見解によれば、パイプハウスの許容とされる積雪深は20~25cmが耐雪の範囲となっており、許容とされる積雪荷重は1㎡あたり20~25kgとされています。雪の多い日本海側の地域などでは1日で降る雪の量が20cm以上という状況も考えられますので、該当する地域にお住まいの方には対策が必要です。
大雪による被害の実態
とある地域で行った積雪調査があるのですが、そこではなんと積雪によるビニールハウスやパイプハウスの被害状況は、倒壊という結果がほとんどになっています。一部では未倒壊になっているのですが、これはビニールハウスやパイプハウスが補強されていたためだと言えるでしょう。特に平成26年の2月では記録的な大雪が降った事例があり、大雪にともなって農業用のビニールハウスやパイプハウスが数多く倒壊するという、甚大な被害が出ました。こういった事例からも、積雪に対してどういった対策をしていくのかがかなり重要な課題であることが見てとれます。次の項目で、雪害を防ぐ方法を紹介します。
雪害を防ぐにはどうしたらいいのか
雪害を防ぐには様々な方法があります。第一に思いつくのがビニールハウスやパイプハウスを補強する方法でしょう。例えば、ワイヤーやタイバーを室内の屋根部分に設置する方法があるのですが、これは屋根の広がりを抑えることが出来ます。屋根の広がりを抑えることで、屋根に雪が溜まりにくくなり、溜まったとしても地面に雪が落ちやすくなるため、倒壊対策の一環として有効です。他にも、筋交いという補強部材を用いるとハウスの変形を抑えることが出来ます。こういった様々な補強器具がある中で、どれか1つだけにしなければいけないという事はありません。複数の器具を用いてハウスを相乗的に強化する方法もあるため、雪害が多い地域の方や、万全な対策をしておきたいという方は複数の方法を取り入れておくと良いでしょう。器具や道具などを用いて強化する他にも、雪害を防ぐ方法はあります。ハウスを設置する際に、屋根の形を少し尖ったような状態にしてみましょう。すると、屋根の勾配が急になるため、屋根に積もった雪がかなり落ちやすくなります。他にも、複数のビニールハウスやパイプハウスを設置する場合は、間隔を開けて設置するだけでも大いに効果があります。先ほど記述しましたが、ハウス同士が連棟していると、間に落ちた雪が溜まり、高く積みあがってしまいます。間隔を空ければそういった雪の片寄りが防げるので、ハウス設置時の検討事項として覚えておくと良いでしょう。
ビニールハウスの除雪の際の注意事項
ビニールハウスやパイプハウスの雪害を防ぐには、ハウスの補強や、設置の際の工夫が重要となりますが、除雪でもある程度雪害を防ぐことが可能です。しかし、除雪は人の手で行うのがほとんどのため、危険が伴います。その際の注意事項ですが、まずビニールハウスやパイプハウスの屋根の雪を落とす際には、ハウスの内側からつついて雪を落としましょう。ハウスの屋根に上った状態で除雪を行うと、重さでハウスが倒壊してしまう恐れがあるからです。また、ハウスの内側から雪を落とすのが難しい場合、T字のブラシを使えば、外側から雪が落とせるでしょう。その際の注意点としては、ハウスを傷つけないようにすることです。除雪をする際、屋根の上にある雪だけに目が行きがちですが、ハウスの側面にも注目しなければなりません。先ほど記述した通り、側面に片寄って雪が積もる場合もあり、それだけでハウスが倒壊する恐れがあります。ハウスの側面の除雪も十分に行わなければなりません。そして、急激な大雪により、短時間で1メートルもの雪が積もる場合もあります。その時でも通常通りの除雪が出来ればいいのですが、難しい場合は、ビニールを切って室内に雪を落としてしまいましょう。こちらは最終手段になりますが、手っ取り早く雪が降ろせます。その際は、かならず落ちてくる雪に気を付ける必要があるので、ヘルメットを着用すると良いでしょう。
まとめ
パイプハウスは大雪の降る地域で利用するには倒壊のリスクがありますが、耐雪性能をあらかじめ知っておくことで大雪への対策を講じることが可能です。パイプハウスの補強やこまめなハウスまわりの除雪が倒壊を防ぐことができます。個人でのDIYによる補強が困難な場合にはプロの業者へ依頼するようにしておきましょう。