パイプハウスの大きさはどうやって決める?適切なパイプハウスの決め方とは
パイプハウスを建てる際、大きさをどうやって決めたらいいか、適切なサイズについて悩んだ経験があるのではないでしょうか?特に農業未経験でこれから初めてパイプハウスを建設したいという方にとっては、イメージも湧きにくいですよね。これからパイプハウスを建てようと検討している農業を営む事業者へ向けて、パイプハウスの大きさの決め方や適切なサイズや構造設計などを紹介していきます。
パイプハウスのサイズはさまざま
そもそもパイプハウスは大きく分けると、地面に押し込んで建てる簡易的なパイプハウスと、基礎を持つ鉄骨ハウスに分けられますが、栽培する農作物によっても1棟だけ独立して建てられている単棟ハウスや、ハウスが連結している連棟ハウスがあります。さらに換気性の高い軒高が3m以上あるハウスなど作物や栽培方法によってパイプハウスのバリエーションが広がっています。
パイプハウスのサイズ感
パイプハウスのサイズについて紹介していきます。下記に分類した表を記載していますので参考にしてみてください。
用途 | 面積 | 規模の目安 | 備考 |
---|---|---|---|
簡易ハウス | 4㎡~10㎡ | 間口:1.56m × 奥行:2.2m × 高さ:1.85m以上 | 組み立てが可能。ベランダやテラスに設置できます。 |
家庭菜園用ハウス | 10㎡~20㎡ | 間口:3.6m × 奥行:5.4m × 高さ:2.4m以上 | 組み立てが可能。広めの庭などで設置できます。 |
農家向け中型ハウス | 20㎡~1000㎡ | 間口:4.5m × 奥行:7.5m × 高さ:2.7m以上 | 組み立てるには資材を購入して自作する必要があります。 |
農家向け大型ハウス | 1000㎡~5000㎡ | 間口:7.2m × 奥行:50m × 高さ:2.7m以上 | 左記は連棟の想定です。組み立てるには資材を購入して自作する必要があります。 |
奥行きに関しては、パイプを等間隔に並べていけばいくほど奥行きを出すことができますので、自由度が高いです。
パイプハウスの面積、長さ、棟数
サイズ感がお分かりになりましたでしょうか。では、事業者が何を栽培していくかによってどれくらい面積が必要か、DIYによる施工が可能かどうかを検討していきましょう。面積が決まると、奥行きや高さが決まっていきます。1つのハウスでは奥行きが長い方が効率的とされていますが、例えばビニールハウスの資材では50mのものが多く、60mや70mといったサイズで建てるとしたら50mからはみ出た余剰分のビニールが必要になるのでコストが大きくなります。また、棟数も1棟の建設のほうがコストがかかりませんので、40ハウスを1棟建てるのと20mを2棟建てるのとでは、断然1棟のほうが安く建てられるでしょう。
パイプハウスの高さ
パイプハウスの高さ(軒高)についてですが、こちらは高くすることで屋根に積もった雪が屋根から落ちた雪と繋がることを防ぐことが期待できます。また、側面の換気開口も高くなるため換気量が増え、温度調整に役立ちます。一方低いハウスに比べると、横風などによる影響が強くなりますので、台風などの強風による被害がないとは言い切れません。栽培する作物への影響などをしっかりと考慮し検討してみてください。
1棟と連棟、どちらがオススメ?
1棟だけ建設する際と、連棟で建設する際どちらが良いのでしょうか?同じサイズ感のものでも両者ではそれぞれメリットやデメリットが異なります。
1棟のハウスのメリットとデメリット
1棟のハウスのメリットは、1棟しか建設しないので建設コストが安く、風当りもいいので温度が高くなりにくい点です。一方デメリットは1棟あたりの面積が大きくなりやすいことにより奥行きが長くなりがちなので、移動に時間がかかる点のほか、横風への影響を受けやすいことが挙げられます。
連棟のハウスのメリットとデメリット
連棟のハウスのメリットとしては、土地を有効活用でき、奥行きが単棟よりも長くなりにくいので棟内は動きやすくなります。また、横風に強く、温度や室温の管理がしやすいことも特徴です。一方デメリットとしては大雪などの影響で上からの力に弱く倒壊の危険性が単棟よりも上がってしまいます。
強度の高いハウスを目指す
台風による強風や雪の降る地域では大雪といった被害が日本各地でみられ、パイプハウス、ビニールハウスの倒壊の被害も少なくありません。風や雪に耐えられる構造のパイプハウスを目指し、性能を維持したまま長く使えるパイプハウスを目指していきましょう。一般的には太い径のパイプを採用することでパイプハウスの強度が増しますが、ダブルアーチによる補強といった方法もありますので参考にしてみてください。
まとめ
この記事ではパイプハウスの大きさやサイズ感、選び方について紹介しました。まずは栽培する作物や自身の農業環境に合わせてハウスの面積や間口、高さを検討してからパイプハウスの資材等を選んでいきましょう。雪や風といった被害が心配な方は地域の気候の特徴を事前に調査し、資材選びやパイプハウスの高さ、補強方法に役に立ててもらえると幸いです。また、単棟と連棟によって両者ともに特徴が異なりますので、上記の項目をふまえて一つずつ検討していくことで、より良いパイプハウスを建てることができるでしょう。